東京ガールズブラボー 岡崎京子

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岡崎京子東京ガールズブラボー。くちびるから散弾銃の次に読む。

くちびるから散弾銃のサカエ、ナツミ、ミヤコの3人の高校時代のお話。あらすじ自体は単純で、80年代前半、東京に憧れる田舎娘サカエがひょんなことから上京し、憧れの東京を元気いっぱい(ちょっぴり悩みつつも)てんやわんやしていく青春モノ。

青春特有の溢れるエネルギーで夢の東京を謳歌するサカエの姿は微笑ましく、また80年代前半の雰囲気や文化はぎっしりと詰め込まれ(ニューウェイブの犬山くんなどかわいらしい)、そして何よりも、あのヒリヒリとした青春の焦燥(一秒たりとも落ち着いてなんていられないけれど、それをどこにぶつけたらいいのか、自分が本当にしたいことは何なのかが分からないというあの感じ)が活写されている。

またくちびるから散弾銃のあとがきにある、大人になりたくない女の子たちにも年月の波は容赦なくおしよせるという条りに呼応するように、物語の終盤、サカエは道路に寝転がってこんな風に言う。

「いつまでもこんな風でいたいな。いつまでもいつまでもこうしていたいな。このまま時間が止まっちゃえばいいのに。このままでみんなといたい。大人なんかなりたくない。今死んじゃいたいな。大じしんかゴジラモスラがやってくればいいのに」

くちびるから散弾銃と併せてぜひどうぞ。


追記

巻末には岡崎京子浅田彰の電話対談が掲載されているのだけれど、そこで岡崎京子は、この漫画は、80年代という時代が何だったのかを自分なりに書き留めておくという目的(動機)のために描かれたと言っている。

電話対談では、80年代や90年代がどのような時代であったか、になるのかが話されていくけれども、読んでいて印象的なのは、そこではあくまで文化の受容のされ方の違いがあれこれ話されているということ。というのも、今は文化の受けとられ方はもちろんだけれど、それ以上に個々人が文化を生産したり発信したりするのが当たり前になってきていて(ブログ、ツイッターYoutube、suzuri、Fablabなどなど)そちらに話の重点が置かれるだろうから(どのように受容されているか、されるべきかではなく、どのように発信しているか、いくべきか)。