mina-mo-no-gram 今日マチ子 藤田貴大

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今日マチ子と藤田貴大のmina-mo-no-gram。

青柳いづみの喪失、追憶、受容が描かれる。

青柳いづみは高校生から27歳までの間に数々の喪失を経験する。高校生のときに自殺で親友を失い、大学生のときに初めての恋人を失い、友人は徐々に変化し、自分の母親を失う。高校生から27歳までの間にこうした喪失を経験し、折にふれてそのことを思い返し、しかしそのことを誰かに話すでもなく、そうした事柄は彼女の内側に堆積していく。そうした堆積物は、時とともに薄れていくけれど決して消え去ることはなく、彼女の一部を形づくり、彼女はそれとともに生きていく。

こうした喪失、追憶、受容の経験は何も彼女に特別なことではなく、私たちの誰もが持っているものだ。街行く素知らぬ顔した行人たち1人1人の内側にも、いくつもの大きな、あるいはささやかな別れや喪失の経験とそれへの追憶、そして受容が折り重なり、堆積している。その表情がどれほど冷ややかで無愛想なものであろうとも。

そうしたものに思いをはせるきっかけを、この作品は与えてくれる。