プリンセスメゾン(1-5) 池辺葵

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池辺葵の作品を初めて読む。主題、人物造形も魅力的だったけれど、何よりも間(科白の少なさ)に驚かされた。

主題は、ローンでのマンション購入を検討する(主に独身女性の)人間模様を描いたもので、個性的だけれど等身大でもある人々の生活の一面が垣間見れる。

 

何よりも驚かされたのはその間。科白がとても少なく、絵だけで話を展開していくことがしばしばある(第2巻第14話、いつかの家の帰郷シーンなんかはその好例)。視線や表情に動作、そしてそれに続く風景や事物をつなげていくことで、科白がなくとも、いやある意味では科白がある場合以上にニュアンス豊かにストーリーは進み、登場人物の心情が描かれていく。適切な類似物が思い浮かばないけれど、パントマイム、サイレント映画、手話、影絵なんかを見ているときの気持ちに似ている。こんな経験をさせてくれる漫画作品は初めてだったので、とても新鮮。

 

今後の話の展開は分からないけれど、続けようと思えばいくらでも続けていけそうな気もするし、完結させようと思えばそれなりにキリのいいところで完結させられるだろうなとも思う。

あと装丁もモダンな色味で素敵。